カンボジア進出支援の業者選び|失敗しない5つの見極めポイント
カンボジアに進出する際、どの業者に頼むかで命運が分かれます。本動画では、2008年からカンボジアで事業を経営してきた髙が、進出支援の業者を見極めるための5つの具体的な質問を解説します。「会社を自分で登記したか」「何人採用して何人辞めたか」「銀行口座を自分で運用しているか」「現地にどれぐらいいるか」——これらを聞くだけで、本当に自分でやっている人なのか、営業窓口なのかがわかります。進出ツアーの正しい使い方、「登記して終わり」の定型型と個別カスタマイズ型の違い、駐在員を送るコストとの比較についても率直にお話しします。
カンボジアに進出したい。
そう考えたとき、多くの会社はまず現地で頼れる相手を探すところから始まる。法人登記、銀行口座、税務、労務。日本にいながら全部を回すのは難しく、現地で動ける支援先が必要になる場面は多い。
ただ、本当に大事なのは、業者に頼むかどうかではない。誰に頼むかである。
私は2008年にカンボジアに来た。今でこそ進出支援の仕事をしているが、最初からそれを仕事にしようと思っていたわけではない。当時は今ほど進出支援を前面に出す人も多くなく、頼れる相手がいない以上、自分でやるしかなかった。
そのとき、私は日本で戦略コンサルの仕事をしていたこともあり、正直かなり自信があった。自分ならたいていのことはできるだろうと思っていた。ところが、実際にこちらで事業を始めてみると、その自信はまったく通用しなかった。
採用した人がすぐ辞める。
契約書を整えても、こちらが思っていた通りには進まない。
税務でも予想していなかったところで止まる。
日本で身につけたやり方だけでは、現地の実務は回らない。
私は、落ちるべき落とし穴に一通り落ちた。だから今、カンボジア進出について「こうした方がいい」「これはやらない方がいい」と言えるのは、自分でやって、自分で失敗してきたからである。
失敗を一通りやったからこそ、業者選びの基準が見える
私は日本では戦略コンサルの仕事をしていた。クライアントの事業を分析し、戦略を考え、提案する。それ自体は面白かったが、実際にやるのは相手であり、最終的な意思決定も相手がする。そこに物足りなさがあった。
だったら自分でやってみよう。そう思ってカンボジアに来た。
ところが、自分でやると全然違う。戦略を語ることと、現場で人を雇い、資金を回し、トラブルを収め、会社を生かすことは別の仕事である。特に海外では、その差が大きい。
こちらで会社を動かしていると、うまくいくことももちろんあるが、想定通りにいかないことの方が多い。人の問題、役所の問題、お金の問題、言葉では説明しにくい現地の慣習の問題。そうしたものに一つずつぶつかってきた。
進出支援を仕事として始めたのは、そのあとである。自分で事業をやっている中で、縁のあった方から相談を受け、手伝っているうちに、今の形になった。だから私の支援は、机上で覚えた話ではない。現地に来て、自分で困って、自分で何とかしてきた経験が土台になっている。
業者を選ぶなら、まずこの5つを聞けばいい
今はカンボジア進出支援をうたう業者もいる。ただ、その中身はかなり違う。
自分で現地法人を経営している人もいれば、現地の会計事務所や法律事務所と組み、日本側の窓口として動いている人もいる。後者が悪いわけではない。実際、それで機能する支援もある。
ただ、もし私が業者を選ぶ立場なら、まず次の5つを聞く。これで、その人がカンボジア現地で自分で事業をやってきた人なのか、それとも現地の実務家につなぐ窓口なのかは、かなり見えてくる。
1. 自分の会社をどう作り、今もどう回しているか
まず聞くのはここである。自分の会社をどう作ったのか。今もその会社を経営しているのか。これを聞けば、話の中身はかなり見える。
会社を作る手続き自体は、知っていれば進められる。だが、自分で会社を立ち上げ、それを維持し、経営してきた人の話は違う。会社は作った後の方が圧倒的に大変で、その先を知っているかどうかで支援の厚みは変わる。
実際、カンボジアで現地法人を設立する場合は、商業省への会社登録だけでなく、税務登録なども必要になる。
制度としての流れを知っているだけでは足りない。登録後に何が発生しやすいのかまで分かったうえで話しているかどうかで、支援の中身は大きく変わる。(出典元:日本貿易振興機構(ジェトロ)「外国企業の会社設立手続き・必要書類 | カンボジア」)
2. 何人くらい採用し、何人くらい辞めたか
これはかなり本質的な質問である。カンボジアに限らず、海外での事業は人の問題が大きい。特に採用と定着は、日本の感覚だけでは読み切れない。
だから、今まで何人くらい採用してきたのか、そのうち何人くらい辞めたのかを聞いてみる。これに具体的に答えられる人は、現場をやってきた可能性が高い。逆に抽象的な話しか出てこないなら、実務は別の人が担っている可能性がある。
3. 自分の銀行口座をどう使っているか
口座開設のサポートをうたう業者は多い。ただ、実際に自分で口座を動かしているかどうかは別である。
送金、着金、資金移動。そうした実務を自分で回している人の説明は具体的である。銀行口座は開ければ終わりではない。開いた後にどう使うのか、どこで止まりやすいのかを知っているかが重要である。
4. 自分のお金を現地でどう持ち、何に振り向けているか
少し踏み込んだ質問だが、これも聞く価値がある。自分のお金を現地でどう持っているのか、どう動かしているのか、何を有望と見ているのか。そこに、その国への向き合い方が出る。
人には「カンボジアはいいですよ」と言いながら、自分では何も持っていない人と、自分なりに現地で資産を置いている人では、見えているものが違う。全部を投資しろという意味ではないが、自分自身がどこまで腹をくくっているかを見る材料にはなる。
カンボジアにはカンボジア証券取引所があり、実際に上場企業もある。だからこそ、現地でお金をどう置き、何を見ているのかという感覚は、進出支援を語るうえでも無関係ではない。(出典元:カンボジア証券取引所(Cambodia Securities Exchange:CSX)公式サイト)
5. 年間のどれくらいをカンボジアで過ごしているか
これも大きい。年に数回だけ視察で来る人と、生活の大半をこちらで過ごしている人とでは、持っている情報が違う。
制度や法律は調べればある程度分かる。だが、実際に今どう回っているか、何が変わってきているか、どこに空気の変化があるかは、現地にいる時間の長い人の方が強い。
この5つを聞けば、その人が本当に現場をやってきた人なのか、それとも現地の専門家につなぐ窓口なのかはかなり見えてくる。後者が悪いわけではないが、その違いを理解せずに選ぶべきではない。
視察ツアーは入口としては有効である。ただし、それだけでは判断を誤る
進出支援会社の中には、視察ツアーを組んでいるところもある。私はそれ自体を否定しない。初めてカンボジアに来る人にとって、現地の空気を感じる入口としては意味がある。
ただし、ツアーには限界がある。
ツアーを主催する側も事業としてやっている以上、参加者には前向きな印象を持ってもらいたい。すると、どうしても見せたいものを中心に回ることになる。これは当然である。
たとえば、カンボジアで飲食店をやりませんか、という流れのツアーがあったとする。そのときに案内されるのは、たいていうまくいっている店である。だが、実際にはうまくいっている店もあれば、厳しい店もある。両方を見なければ、判断は偏る。
最初に来るときはツアーでいい。
しかし、本気で進出を考えるなら、その次は自分で来て、自分で見た方がいい。
カンボジアは、何度か同じ場所に行けば人との距離が縮まりやすい国である。2週間でも3週間でも、自分の足で歩けば、案内されているだけでは見えないものが見えてくる。
視察ツアーは入口として使えばいい。ただ、それだけで意思決定してはいけない。実際に進出するなら、自分で見て、自分で比較して、自分で考える時間が必要である。
会社を作るところまでやる人と、作った後まで伴走する人は違う
進出支援といっても、その中身にはかなり幅がある。会社設立、税務登録、ビザ申請のように、ある程度決まった手続きを中心に扱うところもある。これはこれで必要な仕事である。
ただ、会社は作った後が本番である。
設立までは、業種が違ってもやることはある程度似ている。しかし、作った後は全然違う。輸入ライセンスが必要な会社もあれば、採用で苦労する会社もある。物流が課題になる会社もあれば、税務や契約の問題で止まる会社もある。
この部分は会社ごとに事情がまるで違う。だから、どこまで入って支援するのかで、支援の価値は大きく変わる。
弊社は、会社設立で終わるのではなく、その後の実務まで伴走する。お客さまが自社だけでは回しきれない部分に入り、必要なことを一つずつ進める。やることは毎回同じではない。お客さまごとに違う。だからこそ、現実にはその方が進みやすい。
ある上場企業の出店支援で見えたのは、本業の外側に実務が集中するという現実である
たとえば、日本のある上場企業がプノンペンに店を出したときのことである。その会社にとって本業は、当然ながら商品を売ることである。店を作り、商品を並べ、売る。そこは自分たちでできる。
ただ、現地で店を回すためには、それ以外のことが大量にある。会社設立、スタッフ採用、輸入ライセンス、物流会社の選定、会計や税務の体制づくり、必要に応じた法務対応。そうした本業の外側にある実務が、一気に出てくる。
その会社は、日本ではしっかりした企業である。だが、カンボジアで最初から全部を自社だけでやるのは難しい。だから、その周辺実務を弊社が窓口となって動かした。
もちろん、弊社だけで全部できるわけではない。ライセンス取得や高度な専門性が必要な領域は、現地の信頼できるパートナーと組んで進める。ただ、どこなら任せられるか、どこは慎重に見た方がいいかは、長く現地でやってきたからこそ判断できる。
お客さまにとって重要なのは、相手先が何社あるかではない。必要なことが前に進み、誰に聞けばいいかが明確であることである。だから、その窓口を一本化して受けている。
効率だけを優先する支援では、実際の進出実務は回らない
こうしたやり方は、正直に言えば効率はよくない。会社設立だけやる。ビザだけやる。会計だけやる。その方が事業としては回しやすい。
だが、実際に進出してくる会社が困るのは、いつもその間の部分である。誰もが同じ問題で止まるわけではない。だから、最初から型にはめた支援では足りなくなる。
弊社は、その会社にとって必要なことを一つずつ進める形を取っている。数を大量にこなすやり方ではないが、進出実務を現実に前へ進めるには、この形が最も機能する。
最初から駐在員を置く前に、現地で動いている人を使う方が合理的である
仮に、現地の支援を使わず、自社だけで全部やるとする。そうすると、誰かを現地に常駐させるか、少なくともかなり頻繁に出張しないと回らない。
だが、進出初期の段階でそれをやるのは、会社にとって負担が大きい。給料だけではない。住まい、渡航、生活の立ち上げまで含めると、固定費は想像以上に重い。その段階ではまだ売上が安定していないことも多く、固定費だけが先に立ちやすい。
だからこそ、最初は現地で動いている人間を使う方が合理的である。こちらはすでに現地で仕事をしていて、何が起きやすいかも分かっている。入口の難しいところを一緒に進め、事業が育ってきた段階で自社の体制に切り替えればいい。
私は最初の面談でもそう伝えている。最初からずっと頼ってくださいとは言わない。事業が大きくなり、自分たちで回せる段階になったら、その時点で支援会社を卒業すればいい。
支援会社選びで見るべきは、その海外進出先の現地で自分で事業をやってきたかどうかである
海外進出の支援会社を選ぶときに、最も見るべきなのは、「その人がその海外進出先の現地で、自分で事業をやってきたかどうか」である。きれいな説明はいくらでもできる。だが、実際にやってきた人なら、採用で何が起きたか、銀行でどこに詰まったか、税務で何が重かったかを具体的に話せる。
見るべきなのは、その具体性である。まずそこを見ればいい。
そして、もう一つ重要なのは、その相手が、「いつか自分たちがいなくても回る状態になることを前提にしているかどうか」である。ずっと依存させる前提の支援ではなく、最初の難しい時期を一緒に乗り切り、その後は自社で回せる状態まで持っていく支援を選ぶべきである。
私自身、カンボジアでかなりの失敗をしてきた。だからこそ、その経験をもとに、これから来る人には同じ失敗をしてほしくないと思っている。
業者を選ぶときは、派手な言葉を見るのではない。その海外進出先の現地で、その人が自分で何をやってきたかを見ればいい。それが、カンボジア進出支援でハズレを引かない最も有効な見極め方である。
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