サムライカレー事例に学ぶカンボジア現地法人設立 _そもそもなぜ現法をつくるのか?

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この記事のポイント

サムライカレーの事例をもとに、なぜカンボジアで現地法人を作ったのか、設立後の管理をどう設計したのかを整理する。会社は作って終わりではない。本業に集中できる体制づくりまで含めて、現地法人管理の考え方を解説する。

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カンボジアで現地の人たちにまず売れないと分かっている商品を、あえて売ってみることから始める。 当然厳しい出だしになることは見えているが、株式会社スパイスアップ・アカデミアの「サムライカレープロジェクト」はまさにそこから始まる。 
売れない。ではどうするか。そこを考え、動き、立て直す過程そのものを研修プログラムにしている点に、このサムライカレーの面白さがある。
この極めてユニークな研修プログラムの詳細については「日本の学生がカンボジアでカレーを売ったら|サムライカレープロジェクトの実践型ビジネス教育」という動画および解説記事をご参照いただきたい。 

本稿ではこのサムライカレープロジェクトの表舞台である研修プログラム運営の裏側で、主にコンプライアンスの側面からカンボジア現地法人がどのような機能を果たしているのかに注目する。

カンボジアに限らず海外進出するならまずは現法設立から。 多くの日本企業・事業家が意外と無思考なまますぐ法人登記にとりかかる。 が、そもそもその現法が必要な根本理由は何であって、その現法に担わせる機能は具体的に何なのか? 突き詰めて考えると現法設立・運営にも様々なパターンがあり、サムライカレーの事例はそのことをかなり分かりやすく見せてくれる。


サムライカレー事例が教えるカンボジア法人設立の考え方

サムライカレープロジェクトは、株式会社スパイスアップ・アカデミアが運営する海外研修プログラムの一つである。本稿で注目するポイントは先述の通り、そのプログラム自体のユニークさや面白さではなく、そのプログラム運営を主眼としながら現地でどういう会社の作り方をしたかという設計の部分である。

公開中の公式サイトでは、サムライカレープロジェクトは株式会社スパイスアップ・アカデミアが運営する海外研修プログラムとして案内されている。会社情報ページでは、カンボジアを含む複数国で学生向け研修を運営していることも確認できる。

サムライカレープロジェクト公式サイトサムライインターン運営会社

この研修プログラムは、研修生たちにまずカンボジアでは売れない商品のマーケティングからスタートし(開始早々それが売れない事を判明させる)、そこからどのように挽回していくかを研修生たちにいろいろと試行錯誤させる。

ある意味、無理ゲーから入る。売れない。どうしようって悩む。そこからピボットしていく。そのプロセス自体が研修になっている。

あくまでこれは研修であって、実際にサムライカレープロジェクトを運営する株式会社スパイスアップ・アカデミアがカンボジア現地事業としてカンボジア人向けの現地売上を伸ばしていきたいわけではない。 したがってその現法は「現地売上を最大化するための箱」である必要はないわけだ。


なぜカンボジアで現地法人を作る判断になったのか

私は、どの会社の相談でも、まず「本当に会社を作る必要があるのか」から入る。カンボジアに進出したいからといって、すぐ法人設立ありきで進めることはしない。作る場合の負担もあるし、作らない場合のリスクもある。そこを整理せずに話を進めると、後で必ず無理が出るからだ。

この案件では、設立理由がかなりはっきりしていた。研修生は基本、日本の学生である。その学生にはご家族がおり、学生たちを預かる学校もある。そのご家族や学校から見て、この新興国カンボジアで行う研修プログラムの運営主体は「学生を送り出すにあたって十分に信頼できる存在」である必要がある。そうなると、現地で会社をきちんと作り、正規の形で運営していること自体が、サービスの信頼性につながる。スピードよりも、安心感と説明のしやすさのほうを重視する必要があった。

きちっとやっているという安心感、信頼感がまず第一だった。面倒でも、現地で会社を作って正規の形でやる。それは最低限やるべきだという判断だった。

現地法人を作る理由は、現地で大きく売上を立てて現地事業を伸ばしたいからだけとは限らない。対外的な信頼性を示したい場合もあるし、海外拠点としての実績をきちんと残したい場合もある。サムライカレーの現地法人は、まさにそういう文脈で必要になった会社だった。


カンボジア法人設立では制度の建前と現実の両方を見る

カンボジアで進出判断をするときに厄介なのは、制度の建前と現場の実務が、きれいには重ならないことがある点である。制度だけ見れば答えが単純に見えることでも、現場では別の形で動いていることがある。ここを知らずに判断すると、後で痛い目を見やすい。

動画でも触れた通り、ルール上は認められないものの、現実には法人を作らずに個人で動きながら商売をしているケースもある。ただ、それをそのまま勧めるわけではない。大事なのは、制度上どう整理されるのかと、現場で何が起きているのかを分けて理解したうえで、自社はどこまで整えるべきかを決めることである。この案件では、その整理をしたうえで、やはり現地法人を作ったほうがよいという結論になった。

制度だけで機械的に決めるのも危ないし、現場感だけで決めるのも危ない。カンボジアで法人を持つかどうかは、その二つを行き来しながら決めるほうが外しにくい。


日本で売上が立つ事業ではカンボジア側のコスト設計が重要になる

この案件では、収益の主体は日本側にある。日本の学生やその家族から研修プログラムの対価を受け取る以上、売上が計上されるのは日本の株式会社スパイスアップ・アカデミアである。そうなると、カンボジア現法の役割は、現地で大きく利益を出す会社というより、コンプライアンスを満たし、必要最低限な管理実務を受け止めるための会社として見るべきだ。

そう考えると、カンボジア側のコストは必要以上に重くしないほうがよい。 売上を立てる必要がない会社に、余計な固定費を持たせない。管理コストが膨らんでいくような法人設計は最初から避ける。ここを意識して会社設立スキームを最初から設計しておかないと、無駄なコストばかるかかる箱になりかねない。

もちろん、どこまでを日本側に置き、どこからをカンボジア側に持たせるかは、案件ごとに違う。そこは各社のビジネスモデル次第であり、細かい線引きは簡単な一般論では済まない。ただ少なくとも、その線引きを明確にしたうえで現法に担わせる役割と機能を明瞭に設計することが肝要となる。


経営者が表舞台の本業に完全集中するためには

現在、この案件ではカンボジア現地法人の運用管理を弊社が担っている。月次の管理業務をどう整理し、どの業務を弊社が実際に代行し、どの業務をどの外部専門家に依頼するか。全体的な管理コストがどれくらいで収まるように設計するか。そこまで含めて経営者と密に議論し、現地法人が必要以上に重くならないように設計している。

私は公認会計士でもあるので、カンボジア現法の管理業務でもっとも負担が大きい会計税務の実務について、単にライセンスを持つ現地会計事務所に丸投げするだけではなく、会計事務所の業務内容や品質をしっかり管理できることも弊社の強みだと考えている。

現地法人の管理は、弊社がまとめて見る。その状態を作れると、相手側は本業の充実と運営に頭を使いやすくなる。

せっかく海外進出したのに、そのための箱である現法の管理のために社長や経営陣の時間が取られていくのでは本末転倒である。 経営者の時間はできるかぎり本業に使うべきであり、現法の存在がその邪魔をしないようにすることに、支援側の価値がある。


カンボジア法人設立は作る目的と設立後の運用で差がつく

この事例から分かるのは、カンボジア法人設立の成否は、登記の完了では決まらないということである。何のために会社を作るのか。その会社に何を持たせるのか。設立後の管理を誰が担うのか。この三つが曖昧なまま進めると、会社はできても運営が苦しくなりやすい。

サムライカレーの現地法人は、カンボジアで大きく儲けるための会社ではなかった。信頼性を示し、必要なコンプライアンスを整え、現地で必要な実務だけを受け止めるための会社だった。そして、その管理は弊社が支え、本体は本業に集中する。この割り切りがあったから、無理のない運営になったのだと思う。

カンボジア進出で迷ったら、最初に決めるべきなのは「会社を作るかどうか」だけではない。その会社を何のために作るのかである。そこが決まれば、作るべきかどうかも、作ったあとに何を外に任せるべきかも見えやすくなる。会社設立はスタートにすぎない。本当の勝負は、その先の運用にある。


現地法人を作るかどうか、作るならどこまでを現地に持たせるかで迷う場合は、先に全体設計を固めたほうがよい。CBSのサービス一覧では、法人設立だけでなく、設立後の税務・会計・法務・銀行口座開設まで含めた支援内容をまとめている。CBSのコラム一覧にも、進出判断に役立つ記事を随時追加しているので、必要に応じてあわせて見ていただきたい。

現地法人は作る前より作った後で差がつく

現地法人は、作れば終わりではない。何のために作るのかを先に決めずに進めると、設立後の管理負担だけが増えやすくなる。

特に、売上が日本側で立つ事業では、カンボジア法人にどこまで機能を持たせるか、どこまでを現地で受けるかの設計が重要である。そこが曖昧なままでは、会社はできても運営が重くなりやすい。

CBSでは、現地法人設立だけでなく、設立後の税務・会計・法務・銀行口座開設まで含めて、全体設計から支援している。自社の場合にどう切り分けるべきかを整理したい場合は、まず相談して欲しい。

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本記事は、カンボジアビジネスサポート(CBS)チャンネルで配信されたインタビュー動画の内容をもとに構成しています。
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